2050年の世界と日本

2017.01.25. by 渡光弘


今回は、ECに関連した話題ではなく、表題の通り「2050年の世界と日本」について、考えてみたいと思います。

2050年は今から33年後ですが、皆さんはその時の自分や社会をイメージしたことがあるでしょうか?昨今、話題のAIや自動運転車が現実のものとなり、すごく便利な社会を想像する方もいるかも知れません。あるいは、世界で起きている紛争や戦闘が、第三次世界大戦を引き起こしていると想像される悲観的な方もいるかも知れません。

また、日本に視点を変えれば、少子高齢化の進展がより加速し、国の財政が破綻すると予想される方もいれば、外国人の来日が着実に増加し、構造改革を成し遂げ、成熟した社会で今よりも住みやすい国になっている、と楽観的に考える方もいらっしゃるかも知れません。

未来予測は、多分にその予測をする主体者の希望や人生観が反映されることで、多様な意見がみられることが特徴といえるでしょう。日本の政府も含めて、多くの公的機関や民間企業で未来予測は行われています。そこで今回は、3つの観点から具体的な事例や数値をご紹介したいと思います。読者の皆さん一人ひとりにも、考えて頂く機会となれば幸いです。

人口編

様々な未来予測の中でも、最も予測しやすいと言われているのが「人口推移」に関する予測です。それは、出生率と平均寿命は短期間で激変することが少ないためであると言われています。下記に、2013年、2050年、2100年の将来の人口推移とTOP20のランキングを掲載しました。

日本は、2013年の10位から2050年に16位へ、2100年には29位と後退します。人口減少に歯止めがかからない限りは、むべなるかな、ですが、個人的に気になる国として、ナイジェリアとタンザニアをピックアップしたいと思います。

ナイジェリアは、2050年には4億4,000万人となりアメリカを抜いて4位。タンザニアは2050年に1億2,900万人で13位、2100年には2億7,500万人で6位になると予想されています。国家の経済活動の規模をあらわすGDPの構成要素のうち、人口は重要な要素ですので、正確におさえておきましょう。

1
出典:世界ランキング統計局作成 国連 2012年版 世界人口展望

経済編

次に経済についてです。データは、2015年2月10日に英国のプライスウォーターハウスクーパースによる、購買力平価ベースのGDP世界TOP10ランキングです。日本は2014年は、4,788十億ドルで4位、2030年に6,006十億ドルで4位をキープするものの、2050年は、7,914十億ドルで7位に後退します。

2
出典:2014年についてはIMF「World Economic Outlook」データベース(2014年10月)、2030年と2050年はPwCの予測

3

次に、世界のGDPに占める割合ですが、米国、EUは微減していくのに対し、中国は2020年代以降は横ばい、インドは右肩上がりで増加していくことがみてとれます。この結果、インドは2050年に米国を抜き、世界2位の経済規模になります。2050年にはアジアの2大国に加え、4位にインドネシア、7位に日本がいる、という世界状況です。

4
出典:平成27年5月28日 三菱総合研究所 「内外経済の中長期展望2015-2030年度」

名目GDPベースで見てみると、どうなるでしょうか。こちらは、三菱総研のデータですが、2030年には中国が米国を抜き世界一位となります。2025年に日本はインドとASEANに抜かれ、2030年には6位となる予想となっています。

こうして見ると、21世紀は名実ともにアジアの世紀になるのは、間違いないといえるでしょう。
いずれにしても、日本は世界3位の経済大国と認識している人が多いと思いますが、2050年にはTOP10に入っているレベル、ぐらいの認識をしておく必要がありそうです。

社会編

最後に社会についてです。社会全般と言っても幅広くなりますので、今回は、女性の社会進出について絞って、考察してみたいと思います。日本の社会の女性進出(特に、会社における管理職の割合)は遅れている、と言われて久しいですが、本当なのでしょうか?

5

6
出典:平成26年 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
総務省統計局「労働力調査」 労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2013」

左側の折れ線グラフは、国内の女性管理職割合の変遷を示しているのに対し、右側の棒グラフは、女性管理職割合の国際比較です。

女性管理職の割合は着実に増加してきていますが、先進国間で国際比較すると、韓国よりも上回っているものの、最下位グループです。順位もさることながら、割合がかなり低く、イタリアの半分以下の11%に止まっています。

結論としては、日本における女性管理職の割合は、世界と比べて相対的に低いと言わざるを得ません。また、女性の労働力率の向上だけでなく、会社において、より重要な役割での活躍がみれられてもよいと思われます。

最後に、女性の社会での活躍を阻む理由について、考察してみたいと思います。現在、「働き方改革」が政府によって推進されようとしていますが、女性の社会での活躍を阻む主要な理由に、妊娠・出産・育児と仕事の両立の困難さが挙げられることがあります。これはどの程度、確からしいのでしょうか?

7 8

出典:平成21年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究」

最上段のグラフは、育児のための休業制度の利用有無について、ですが、男性で約80%、女性でも65%が育児休暇を利用していないことがみてとれます。

次のグラフが、育児休業制度の利用に際して不安を感じた理由について、ですが、男女とも職場への迷惑を60%以上の方が感じています。女性に特に多い理由として見逃せないのは、復職後の子育てと仕事の両立、復職後の仕事や職場への適応に対する不安の高さです。これは、明らかに、職場からの何らかの働きかけ(復職後に依頼する業務へのサポートの申し出や出産が昇進にマイナスとならないことの明示的な約束など)が必要と思われる回答結果と言えそうです。

このように見ると、会社がやるべきことはかなり多くある、と言えそうです。制度を用意するだけでなく、特に女性にいかに安心してもらえるか、といった観点(他の社員にサポートを依頼しやすい組織風土など)が特に重要になります。

結びに

人口、経済、社会の3つの観点から、それぞれ異なる機関によるデータを基に考察してきました。皆さんの予想とはどのくらい違っていましたか?当たり前ですが、予測はあくまで予測ですので、こうした予測通りにならないことも多いのが現実です。特に、人類の歴史上、長期予測が当たらないことは有名な事実です。また、課題先進国と言われる日本が正しい政策を忍耐強く実行することで、より良い結果になることは十分にありえます。一方、他国が予想以上に健闘することで、日本との差が予測以上に圧倒的に開いてしまうかも知れません。いずれにしても、未来は、今生きる私たち次第で変化することは間違いありません。

年始は様々な目標を立てるのに良い機会です。仕事でこれから将来予測をしなければいけない方も、個人の目標を立てる方も、ぜひご参考にして頂ければ幸いです。

The following two tabs change content below.
渡光弘

渡光弘

独立系VCで創業メンバー役員として、モバイルのスタートアップの立ち上げを経験。その後、ネット系のスタートアップを経て、GMOペイメントゲートウェイにジョイン。 投資・アライアンス業務に従事。農家向けECサービス事業のふるさとコム㈱を起業するため退職。2年振りにGMOペイメントゲートウェイに復職、現在、国内・海外のM&A業務と海外のFintechスタートアップのリサーチに余念がない。

    
すべての人にインターネット
関連サービス