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グロラボ編集部
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ECサイトやホームページなどのWebサイトのアクセス解析をするために導入されている「Googleアナリティクス」ですが、目的を明確にしたうえで必要なデータを取得できる状態にしておかなければ適切な分析を行うことはできません。Googleアナリティクスを正しく活用して売上アップにつなげていくには、第一に初期設定が鍵を握ります。今回は、Googleアナリティクスによる分析から改善施策の提案、実行までを手がけるアナリストら3名が初期設定の重要性を解説します。
【Profile】
辻本隆一
大手健康食品EC・マーケティングリサーチファームを経て、GMOペイメントゲートウェイに入社。データ分析を軸に、広告プロモーション・サイト改善・CRMを組み合わせた包括的なマーケティング提案が得意。
※ウェブ解析士、GoogleAnalytic個人認定資格(GAIQ)、Google広告検索認定資格保持
高畑康仁
Web制作会社でプランニング~ディレクション、デザインなど幅広く経験した後、大手HR事業会社で転職メディアの分析・改善~開発ディレクションやCRMを担当し、2018年GMOペイメントゲートウェイ株式会社入社。事業側の経験を活かし、改善からその後の運用にいたるまでを見据えた提案を行う。
※ウェブ解析士、GoogleAnalytics個人認定資格(GAIQ)、Google広告検索認定資格保持
菅原悠
秋葉原のパソコン周辺機器店にて、バイヤーとECサイト運営を担当した後、2014年GMOペイメントゲートウェイ株式会社入社。ECサイト運営担当者としては、Googleアナリティクスをベースとしたサイト改善により2年間で売上を3倍にした実績を持つ。
※GoogleAnalytics個人認定資格(GAIQ)、Google広告検索認定資格、統計検定2級保持
Webサイトを検証・改善するには正しいデータが必要不可欠
高畑:Googleアナリティクスは無料で利用できるため、今では多くの企業が導入しています。Webサイトにトラッキングコードを設定するだけ、という導入のしやすさも受け入れられている理由でしょう。また、Eコマース計測の役割も果たしたり、Google広告やデータポータルといった各種Googleのサービスと連携していたり、高機能であることも要因です。ただ、高機能であるゆえに、どこから手を付けて良いのかわからない、どう活用すれば良いのかわからない、などの声をお聞きします。
辻本:Googleアナリティクスの普及率は7割を超えているともいわれていますが、使いこなせているのはそのうちの1~2割ほどの印象ですね。Googleアナリティクスを上手に活用すれば、KGI(Key Goal Indicator:経営目標達成指標)の達成に近づきます。そのためには初期設定をしっかりと行わなければなりません。
高畑:導入直後にきちんと初期設定をしておかないと、後になって大変な思いをします。というのも、Googleアナリティクスは設置した時点から計測を開始・記録するからです。初期設定を疎かにしていると、例えば過去にさかのぼって前年の会員登録のCVRを確認する際、セッションと会員登録数をエクセルで割り算して……という作業が毎回発生することに。そのうえ、推移を見るためにグラフ化する手間もかかります。
辻本:初期設定をしないと、Googleアナリティクス活用は始まりません。Webサイトを分析・改善するには正しいデータが必要不可欠です。信ぴょう性の低いデータでは、何を根拠に施策を実行すべきかわからなくなりますから。
高畑:Webサイトでは不具合が生じることもあります。コンバージョンレートが下がったとき、それに気づくのが遅れて放置してしまえば、大損失を被るかもしれません。スピード感をもってPDCAを回していくためにも必ず初期設定を行いましょう。
初期設定のコツは、KGIから分解されるKPIを把握すること
高畑:そもそも、なぜGoogleアナリティクスを活用して数値を集計するのか、というところを考えてみてはいかがでしょうか?成果を確認して改善していくことこそ、Googleアナリティクス活用の本質です。ボトルネックを見極めることができれば、早期に手を打つことができます。
辻本:ビジネスモデルにより異なりますが、サイトの特徴ごとに基本の初期設定のパターンは決まっています。そこから始めてみると良いでしょう。
高畑:初期設定のコツは、KGIから分解されるKPIを把握することです。例えば、売上がKGIの場合、購入完了→支払い情報登録→会員登録→カート→商品詳細→商品一覧とプロセスを逆算することができますよね。それぞれにKPIを定めて計測を続けていけば、ボトルネックを洗い出しやすくなります。
辻本:Googleアナリティクスで購入完了の数値を計測しているものの、カートからの導線をチェックしていないというのはよくあります。
高畑:商品詳細ページが1,500PVだとして、それに喜んでいても、その前の商品一覧は10,000PVもあったということもありえます。この差を集計できると、商品一覧から商品詳細に遷移しづらい要因があるのではないかとの仮説が成り立ち、より効果的な施策を実行していくことができます。
Webサイトによって「見える化」すべきポイントは異なる
菅原:また、カスタムディメンションという機能を活用すれば、会員と非会員や会員ランクごとに分けて動向を把握することもできます。業務用品のECサイトを分析したときのことです。会員ランクが高ければ高いほどリピート購入ばかりでマイページから他のページに遷移していないことがわかりました。それで、マイページ内にて他の商品一覧を表示させたところ、売上が1割も伸びたのです。他にもカスタムディメンションでは、新規とリピーター別にコンバージョンレートを計測することもできます。コンバージョンレートの9割がリピーターだとしたら、新規獲得が課題として浮き彫りになるでしょう。
辻本:情報は企業にとって大切な資産。不要なデータばかりが蓄積しないようにすることが大切ですね。
菅原:以前、パソコンショップに勤務し、ECサイトを運営していましたが、買いたい人はWebサイトの利便性にかかわらず購入してくれるだろうとも思っていました。けれど、Googleアナリティクスによりボトルネックを見つけてWebサイトに改善施策を実行した結果、3割から5割も売上が増えることがあります。それも、ボタンやフォントのサイズを大きくしたり、ヘッダーの配置を変えたりといった些細な改善で実現することも。現状把握に留まらず、Webサイトの成果アップという根本的な目的に意識を向けていただければと思います。
初期設定をやらない理由は見当たらない
Googleアナリティクスを始めるにあたり、初期設定をやらない理由は見当たらないと断言する3人。必要な数字を把握できない状態では、効果的な分析を実施することはできません。KGI達成に向けた価値のある改善施策を打ち出すには、初めの一歩が非常に重要なのです。なるべく早いタイミングで事業計画に沿った初期設定を行いましょう。
次回は、Googleアナリティクスを活用した日々のレポーティングと解析方法についてお伝えしてきます。
取材・文:権藤将輝