須田真暢
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ECお天気図とは?
マクロでは毎年拡大を続けるEC物販市場ですが、ミクロではEC通販会社が販売する
商品の業種によってその月毎に売上にばらつきがあります。
弊社はEC決済代行サービスを各ECショップ様にご提供しておりますが、
各ショップ様売上動向のヒアリング結果をヒントにしてECお天気図を作成し、
一般的な天気予報に重ねあわせ、過去の振り返りと今後の予測を
試みるものです。
※あくまでも“予報”のため、ご参考程度にご覧ください。
《指標のご説明(対前年同月比/月)》
晴れ:売上増加 (強・中)
曇り :売上増加(弱)
雨 :売上横ばい・売上減少(弱)
大雨:売上減少(強・中)
①2014年6月 ECお天気図
晴れ:食品・飲料・健康食品
曇り:衣料・雑貨・書籍DVD・日用品・総合通販・化粧品
雨:家電・趣味嗜好品
大雨:無し
【総評】
国内景気においては4月の消費増税以降、売上が伸び悩む見込みになっていますが、
拡大するEC市場においても消費増税のマイナスの影響が6月になっても
継続しています。
<2014年6月6日 日経新聞の記事>
4月の景気一致指数、東日本大震災以来の下げ幅 。基調判断を下方修正
内閣府が6日発表した4月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、
景気の現状を示す一致指数が前月比3.4ポイント低下の111.1と、
2カ月ぶりのマイナスだった。低下幅は東日本大震災のあった
11年3月(6.7ポイント低下)以来3年1カ月ぶりの大きさ。
(中略)内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を
最上位の「改善を示している」から「足踏みを示している」に下方修正した。
判断を引き下げるのは12年10月以来1年6カ月ぶり。
数カ月後の先行きを示す先行指数は0.5ポイント低下の106.6と
3カ月連続のマイナスだった。
消費増税で中小企業の売上見通しや消費者心理が引き続き悪化した。
(以下、省略)
このニュースを見る限り“リーマンショックや東日本大震災ほどの
景気後退インパクトはないと思われます。
下方修正幅はエコノミストの予想通りであり今年の夏には回復する見込み”
というコンセンサスが形成されています。
しかしながら、全体の景気の影響を受けずに拡大してきたEC市場においては、
4月消費増税から3ヶ月経った6月末の時点でもマイナスの影響が継続している、
という状況は過去には起こったことがないため、引き続き注視が必要と言えます。
【EC市場評】
食品や飲料など生活必需品については、ネットスーパーの需要拡大を中心にして
売上上昇率が拡大する動きが散見されていますが、EC主力のアパレル・総合通販
・家電など趣味・嗜好・高額品に該当するモノについては弱い動きが
継続しています。
日経ビジネスオンラインの調査で、4月以前に“どの分野で駆け込み買いを
しましたか?”に対して、高価なものや趣味娯楽に関するものへの消費を
抑制する“という回答が54.9%となっていましたので、
ECにおいても消費増税の影響が色濃く出ています。
また同調査において“夏に向けて、あなたの購買意欲は回復すると
思いますか?”という質問に対しては、なんと95.5%が“思わない”と
回答しているという結果も出ていました。
政府、日銀、エコノミストの予想とは全く反対の結果が出ていますので、
景気の腰折れリスクも一部、懸念されるところです。
②2014年7月以降のEC見通し
晴れ:衣料・雑貨・書籍・日用品・総合通販・化粧品
曇り:食品・飲料・健康食品・家電・趣味嗜好品
雨:無し
大雨:無し
【総評】
“夏場にかけて回復基調“
様々な懸念はありますが、EC全体としては夏にかけて景況感の回復に合わせて、
回復基調が進むと想定されます。
回復基調に転じる根拠としては下図の景気動向指数CIの先行指標が3月-1.4から
4月-0.9に下げ止まる傾向にあるため、先行指数だけについて言えば、
7月から+に転じる可能性も十分にあります。
上記シナリオどおりに進まないリスクとしては、景気動向がプラスになっても
家計の回復にまで恩恵が行き渡らず消費者心理が改善しない、今夏はエルニーニョ現象で
冷夏になる(冷夏だと売上が伸びづらい傾向あり)等が上げられます。
全体の景気回復基調を受けて4-6月で伸び悩んでいた業種ほど、その反動が大きくなる
見込みで、例えば夏セールを控えているアパレル等はその典型となるでしょう。
前年比割れも多くみられた家電・趣味趣向のモノに関しても、雨が上がり始めそうです。
またソーシャルサービスを展開する多くのベンチャーがキュレーションEC(C2Cの形態)等の
新しい物販を展開しており、取扱規模はまだ少ないものの、スマートフォンのEC利用加速に
合わせて拡大が見込まれます。