近西 潤哉
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2017年も動きの大きい決済の業界でしたが、本稿ではトレンドの1つであるウォレット決済、その中でも「QRコード決済」について、国内EC市場動向も踏まえながらピックアップしてご紹介したいと思います。
はじめに-ウォレット決済について
もともと「ウォレット決済」は、国際ブランドであるVISAやMASTERが提供していたNFC端末であるPaypassやPaywaveに端を発します。
海外では、クレジットカードやデビットカードで店舗での決済を実行する場合に、NFC専用端末の置かれたレジで端末にタッチするだけで決済ができる、というスキームが浸透していました。
しかし、日本ではFelica端末など、国際規格とは異なる規格の独自の端末が広く普及しており、欧米のようにPaypass/Paywaveの対応端末が普及してきませんでした。
一方で、日本でもスマートフォンの普及により、モバイルペイメント普及していく土台ができてきている中で、中国における「Aplipay」「Wechat pay」の大成功により、QRコード決済に脚光が集まっています。
中国において、リアル決済のキャッシュレス化が一気に広がったことで、日本だけではなく多くの国でQRコードの意義を見直すきっかけとなっています。
QRコード決済とは
ここで、QRコード決済について、少し整理してみたいと思います。
QRコード決済では、利用者はスマートフォンアプリに予め個人情報とともにクレジットカード情報などの決済情報を登録しておきます。
それに対して、店舗では決済情報をQRコードに表示します。
決済時には、スマートフォンアプリなどから、顧客が店舗側のQRコードを読み取ることで決済が完了します。
顧客は財布から現金やクレジットカードを取り出すことなく、スムーズに決済を完了できます。
スマートフォンさえ持っていれば現金もカードも持たずほんの数秒で決済ができてしまうので、ストレスが非常に少ない決済手段になっています。
QRコード決済の分類
また、利用者がアプリ上で登録しておく決済手段としては、クレジットカードなどの国際ブランドネットワークを経由する決済手段(事例1)だけではなく、国際ブランドを介さない口座直結型の決済の事例(事例2)があります。
事例1:QRコード決済事例
GMOスマート支払い
https://www.gmo-pg.com/service/smart-check/real-store/
Origami pay
http://blog.origami.com/post/156654629379/origamipay20170201a
事例2:銀行口座直結型のウォレット決済事例:はまペイ
https://corp.gmo-pg.com/newsroom/press/gmo-paymentgateway/2016/1005.html
導入による店舗のメリット
店舗サイドには、オペレーションの変更コストがかかるものの、ウォレット決済を導入することによるメリットが大きいのではないかと考えられます。
QRコード決済を含むウォレット型の決済システムを導入し、オンラインとオフラインの垣根を無くした決済基盤ができることで、店舗側は、決済情報たけではなく、予めアプリなどに登録された顧客情報をオフラインの決済においても、取得することができます。
その結果、実店舗で購入をした顧客に対し、パーソナライズされた購入後のフォローアップを(オンラインでの購入後の販促と同様に)実施でき、LTVの向上に寄与するでしょう。オンラインとオフラインの顧客基盤(ポイントや会員情報など)統合する動きがある中で、決済基盤についても統合をしていくのは、自然な流れではないかと考えられます。
国内での普及について(考察)
使えば便利なウォレット決済ですが現金主義の人々が多い日本での普及には、少しハードルが高いと考えられる、ウォレット決済の普及のために、今後必要なことについて、考察してみたいと思います。
まず、利用者に対しては、現金ではなく、ウォレット決済を使ってもらうために、明確に「お得感」を感じてもらえるような施策が必要ではないでしょうか。
わかりやすい形態としては、「ポイント付与」「キャッシュバック」「割引販売」などが挙げられます。
一方、上記のような「お得感」を感じてもらう施策を実施するためには「原資」が必要になります。
その原資の確保手段の1つとして「国際ブランドネットワークを経由しない決済手段がウォレット決済と連携すること」が挙げられるのではないでしょうか。
現状のウォレット決済では、利用者が精算を実施するために、クレジットカード情報などの国際ブランドネットワークを経由する決済手段が紐づいているケースが大半です。
そのため、加盟店サイドには決済金額に応じた手数料が発生します。
また、国際ブランドネットワークを経由しない、銀行口座やハウスプリペイドカードが連携されるようになると、この手数料が削減可能となり、その分を「原資」として「お得感」を感じてもらう施策に使うことができます。
例として、中国での「Alipay」や「Wechat pay」の成功は、国際ブランドネットワークを経由しない決済をウォレット決済に連動させたことが、要因の1つとして表れています。
店舗側は、「お得感」を感じられる購買体験を提供し、決済時に取得した顧客情報を通じてパーソナライズされた追客を実施、顧客のロイヤリティをアップさせ、利用者側の次回購入を促進、結果としてLTVの向上を図る、という一連の流れを実現できます。
さいごに
今回は、ウォレット決済の現状について、事例なども踏まえご紹介した上で、今後について考察させてもらいました。今回ご紹介したウォレット決済の動向も含め、2018年は更に別の動向もあるかと思いますので、改めてアップデートがあれば、ご紹介できればと思います。
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