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UGCの上場企業プレイヤー
昨今、クックパッドの取締役であり大株主である佐野氏の株主提案がマスコミを賑わせています。また、はてなが新規上場のとのことで、にわかにUGC※が注目を浴びています。
※UGCとは、(User-Generated Contents)の略で、Webサイトの利用者(ユーザ)によって制作・生成されたコンテンツ。電子掲示板(BBS)やブログ、プロフ、Wiki、SNS、ソーシャルブックマーク、動画投稿サイト、写真共有サイト、イラスト投稿サイトなどに書き込まれたり投稿されたコンテンツの総称のことをいいます。出所:IT用語辞典
現在、UGC専業の上場企業プレイヤーは、結構存在します。以下に、主要なメディアを集めてみました。
UGCのマネタイズ手法
では、UGCはどのようにして売上を創出しているのでしょうか。大きくは、以下の4つに分類できます。
1)掲載料・利用料
2)広告
3)有料課金
4)データ販売
1)掲載料・利用料
代表的メディア:メドピア、エキテン
メドピアの場合、製薬会社がメドピアを利用するために料金を支払っています。メドピアを利用する医師の口コミを見たり、アンケートを取ったりするために使っています。
エキテンでは、有料契約にすることで、より多くの集客効果が見込める仕組みになっています。
2)広告
代表的メディア:全社
言わずもがな、でしょう。UGCはユーザーが投稿するテキスト、写真、動画などが基になってつくられていくというプロセスの特徴から、必然的に、ページビューが多くなるのが特徴です。昨今の広告販売のトレンドとしては、RTBなどの普及により、純広告はあまり売れなくなる一方で、主要収益は、インフィード広告や、記事広告、アドセンスなどになっているようです。
3)有料課金
代表的メディア:クックパッド
月間170万人が使うクックパッドの有料課金。人気順検索やレシピ保存など、無料会員にはない有益な機能があります。こうした、かゆいところに届く機能差がユーザーに支持されているんですね。
4)データ販売
代表的メディア:@cosme
@cosmeは、ランキングデータを有料で提供しています。具体的には、リアル店舗でのPOPなどの販促物に@cosmeのロゴを使う際や、各カテゴリの順位表示を使う際、ユーザーの口コミをWebなどに表示させる際に必要な料金となります。
メディア事業の特性でもありますが、こうしてみると、どれも原価がかかるわけではなく、そのまま利益となる商品だということがいえます。
広告単価の差
それでは、各社の広告単価に差はあるのでしょうか。結果は以下の通りです。
ただし、一部の会社には広告以外の収益が含まれていたり、売上全体に占める広告売上の定義も会社により違っているため、厳密には正しくありませんが、おおよその傾向はつかめます。
どうでしょうか。ジャンルによって差があるのがわかりますね。こう見ると、リブセンスの転職会議は、非常に単価も高く今後、有望な事業に育っていく可能性がうかがえます。
メディア市場の特徴
最後に、メディア市場はどういった構造的な特徴があるかを、分析してみたいと思います。
・利益率が高い
他業種に比べて、益率が高いビジネスです。カカクコム、クックパッド、エキテンが突出しているのがわかります。一方でカドカワは、高収益率だったドワンゴと角川グループとの合併により、出版事業の利益率に変化しています。
・おおよそ、1ジャンル1社の勝ち組が君臨
例外はありますが、おおよそ1ジャンルに1サービスの圧倒的な存在感のUGCがいて、その他大勢の小さなUGCが存在する、という構図に落ち着きます。
・上場までの道のりが長い
サービス開始から上場までの平均値は、なんと8年5ヶ月です。メディア事業は、最初の数年は赤字が継続しますので、沈没しないように耐え切るか、別事業からの収益補填が必須です。
また、投資家から資金調達した場合(特にVCなどのファンドから投資を受けた場合)、ファンドの償還期限に間に合わなくなる可能性があるため、注意が必要です。
・メディアのメジャー化、収益の多角化戦略の巧拙により時価総額に差が出る
UGCカンパニーのなかでも、最も早く上場した価格コムは、様々なジャンルのUGCを傘下に収めて展開しており、圧倒的な存在感と利益率により、株式市場の評価が非常に高い状態が続いています。
niconicoを傘下にもつカドカワは、リストラも一段落し、今後の新サービスの展開に注目したいと思います。
最後に、クックパッドに言及しないわけにはいかないでしょう。
佐野氏による株主提案の本質は、シングルサービスの深耕を優先するか、他分野に参入して収益を多角化するかという方針をめぐる見解の相違という面がありそうです。どちらが正しいとは簡単に言えない性質のものですが、この提案を受け、株価は大幅下落となったことから、今のところ、株式市場は株主提案をネガティブに捉えているといえます。