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2014年頃から多くの企業が取り組むようになった「コンテンツマーケティング」。今では大手企業の多くが実施しているともいわれており、Web担当者であれば一度は関わりを持ったことがあるのではないでしょうか?
今回は、当社GMOペイメントゲートウェイ株式会社でコンサルタントを務める永田周平と、編集オフィスBuild-Wordsの編集者・ライターの権藤将輝さんが対談。営業サイドとプロダクトサイドとして、2人で多数のWebマガジン/企画コンテンツを手がけてきた二人がコンテンツマーケティングの成功の秘訣に迫ります。
【Profile】
永田周平
GMOペイメントゲートウェイ株式会社のコンサルタント。運用型広告はもちろん、SEOコンサルティングやコンテンツマーケティングなど、幅広いWebマーケティングの知識を持つ。外部ブレーンを含む複数のパートナーと組んでのプロジェクトも得意。
権藤将輝さん
Webブランディングやデジタルマーケティングの会社で経験を積み、2015年10月、編集オフィスBuild-Wordsを開業し独立。編集者・ライターとして、企画・制作にワンストップで対応する。特にブランディングを意識したコンテンツマーケティング施策にもとづくオウンドメディアの運営支援に定評がある。その道の専門家が執筆する記事コンテンツを提供し、ライターネットワークは、弁護士、医師、ファイナンシャルプランナー、心理カウンセラー、スポーツインストラクター、整理収納アドバイザー、料理研究家、トラベルライター、美容ライターなど幅広い。
人気オウンドメディアを目指して。記事制作のポイントとは?
オウンドメディアを運営する企業が増え、Webコンテンツ制作の需要も増大する中、コンテンツとなる記事制作のニーズもますます高まっています。今求められているのは、どんな記事でしょうか?
永田:数年前までなら、特定のキーワードをあからさまに狙ったコンテンツが検索上位に上がっていました。実際のコンテンツの価値というよりも、Googleにどれだけ特定のキーワードを認識させるか、みたいな。しかし、最近では不自然にキーワードや共起語を散らばめたような記事は検索上位ではほとんど見なくなりましたよね。
権藤:特に、ある健康情報サイトで不特定多数のライターによって書かれた記事内容の信憑性や著作権が問題視されたことで、企業も記事の品質やファクトチェックにより慎重になったとよく耳にします。
永田:代わりに増えてきたのが、専門家を取材した記事や、専門家が監修する記事ですよね。実体験にもとづく内容は読み応えがあり、信憑性もオリジナル性も高いですから。そんな『企業が伝えたいこと』と『ユーザーが知りたいこと』のバランスが取れた記事が多くなったのではないでしょうか。
権藤:Googleも2017年に日本語独自のアップデートを実施するなどして、信憑性のある記事を適切に評価できる仕組みが進んだのだと思います。もちろん「完璧」ではないですが、「完璧」に近づけるようなアップデートが日々実行されているように感じます。
二人が手がけた英会話系情報サイトは、最初は制作を請け負った会社の社員が執筆していました。しかし、書き手を外部の海外経験豊富なPRディレクターやライターなど“専門家”に変えたところ、リアルな実体験はオリジナリティがあって良いとクライアントからも好評を得て、月間セッションは当初2,000~3,000から約3年間で2~3万と約10倍に伸び、資料請求や体験入学者の獲得に大きく貢献しています。
権藤:成功しているのは、専門家による良質な記事を地道に継続的に公開しているオウンドメディアです。先の英会話系情報サイトがまさにそうですね。すぐに結果は出ませんが、ユーザーが必要としているであろうコンテンツを意識すれば、自然検索でも評価される記事が増えていくはず。実際にBIGワードでも上位表示されるキーワードが増えて流入数に大きなインパクトがでるようになりました。さらに、ときどき新しい切り口のコンテンツ企画をはさみ、クライアントとユーザーを飽きさせない工夫も大切だと思っています。
永田:「どのような人のためのコンテンツで、どのようなことを伝えるか」がまずあって、そのコンテンツを書いていたら、自然と特定のキーワードが入ってきますからね。よく言われる共起語とかも意識せずに使われているはずです。
3つのアウトソーシング。メリットと気をつけたい注意点
アウトソーシングには、大きく3つの選択が考えられます。クラウドソーシングを利用するケース、直接専門家にお願いするケース、編集プロダクションなどのようなプロの制作会社に委託するケースです。それぞれのメリットと利用時に注意すべきポイントはどんなことでしょうか?
永田:クラウドソーシングは、手軽で安価というメリットから利用を検討している方も多いのではないでしょうか。けれども、ネットを通して不特定多数の方に業務委託をすることになるため、「思っていた文章があがってこなかった」「急に連絡がとれなくなった」といった噂も…。制作に詳しい権藤さんに聞きたいのですが、利用する場合の注意点はありますか?
権藤:登録者の実力差があるので、まずは見極めることです。登録者の個別情報を見て、契約数が多い方や、書いてほしい内容に強い方を選ぶことがポイントになるでしょう。次に、執筆ルールをできるだけ細かく決めること。後の修正が大変になりますからね。
永田:たまたま知り合いに専門家がいて、その方に直接お願する場合もあると思います。そのときに気をつける点はありますか?
権藤:クラウドソーシング同様ですが、執筆前には執筆のポイントやルールを丁寧に伝え、読み物としての記事の品質を担保するための編集作業は必要でしょう。
永田:顔写真や名前を載せるわけですから、原稿料をお支払いするからといって、専門家の方の考えと違うことは書いていただけませんよね。
権藤:その通りですね。たとえば、マンション販売会社のWebコンテンツ制作で「マンションと一戸建て、どちらが将来的に得か?」といった記事を書いてほしい場合、一戸建て推奨のファイナンシャルプランナーであれば「マンションがおすすめ」とは書けないでしょう。発注時に必ず記事の目的を伝え、意向に合う方にお願いすることも重要です。
一方、プロの制作会社に委託するのはどうでしょう?クラウドソーシングと比べると値段が高いので、発注をためらってしまいがちですが……。
権藤:編集プロダクションのように Webコンテンツ制作のノウハウと人脈があるプロの制作会社は、著者の人選から記事の制作・編集まで、ワンストップですべてお任せできるのがメリットです。もちろん、専門家への執筆依頼もできます。その場合、前述の人選や執筆前のルール作り、執筆後の修正も一括で対応してくれるでしょう。
すべてお任せできるので、Webコンテンツ制作の経験が少ない企業ほど、プロに任せてみても良いかもしれませんね。ちなみに、二人で組んで仕事をする場合、永田さんはコンサルタントとして権藤さんのような制作会社とクライアントの間に立って調整する役割だそうですが、具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?
永田:クライアント様と競合、市場を徹底的に調査し、そのクライアントの強みや理念に通じるコンテンツの提案をしています。コンセプト設計を行うことも多いです。第三者だから気づける企業の独自性やユーザーのニーズを意識しています。また、納品時には原稿や訂正にしっかり目を通し、クライアント様と制作の各立場で意見を代弁。原稿に齟齬(そご)があれば制作にリライトを求め、訂正依頼内容が理にかなわなければクライアント様を説得しています。
縁の下の力持ちのような役割ですね。永田さんは直接たくさんのクライアントに接していると思いますが、成功している方々の特徴のようなことはありますか?
永田:プロの制作会社に委託しても、丸投げではなく、どんなコンテンツを作りたいか一緒に考えてくださいます。社内事情や業界に精通しているクライアント様ならではのアイデアが出て、より良いコンテンツになっています。また、校正時には、前向きに話が進むよう訂正があれば必ず理由を添え、無理強いされることはありません。名前や顔を出して矢面に立ってくれる専門家を企業と対等な立場だと尊重してくださるからではないでしょうか。
権藤:企業と営業がガッチリ組んでくれていると、制作も安心して仕事ができます。「なんとなく気に入らない」と否定だけで理由がないと、制作はどう修正していいかわからずに困ります。また、本筋とは関係ない細かな訂正が多いと専門家の方もだんだん萎縮し、のびのびした独自性のある記事を書きづらくなると思います。
成功しているオウンドメディアに共通しているのは「本気・信頼・チーム」
最後に、アウトソーシングに成功しているオウンドメディアをお持ちの企業の共通点を聞きました。
永田:アウトソーシングで成功しているオウンドメディアは、クライアント様である企業が「本気」で取り組んでいます。「本気」は、プロジェクトを動かす原動力ですからね。熱量が本当に違います。また、アウトソーシング先を信頼し、とても協力的です。最近、権藤さんと一緒に進めている「Get Support Project(※1)」も良い事例だと思います。
(※1)株式会社プラスワンエージェントが運営するオウンドメディア。「私たちはすべてのアスリートのサポーターであり続けたい」をコンセプトに掲げ、オリジナルグッズの売上の一部をアスリートに還元することでアスリートをサポートしようとする試みを実施している。
権藤:クライアント、コンサルタント、制作は、ひとつのオウンドメディアを作るチームだと考えています。そういった意味では、永田さんが挙げてくれた「Get Support Project」では、運営企業とアスリート、そして僕たちが一緒になって育てていこうとする一体感をすごく感じますね。仲間意識を持ち協力体制をとってくれるようなクライアントが運営するオウンドメディアでは、現場の専門家やライターが最初の“ファン”になっています。記事の公開告知時に「よろしければSNSで記事をシェアしてください」と一言添えると快く応じてくれますしね。
立場はそれぞれ違っても、「本気」という燃料を満載させ、信頼でつながったチームで一丸となって作る……。多くのオウンドメディアを立ち上げ、クライアントと一緒に成功に導いてきた二人の極意を垣間見た気がしました。
取材・撮影:児島奈美(フリーライター)